Urashima Taro
浦島太郎
昔々、海辺の小さな村に、浦島太郎という若い漁師が住んでいました。太郎は心優しく、働き者で、海が大好きでした。ある日、太郎が漁をしていると、浜辺で子供たちが小さな亀をいじめているのを見かけました。可哀想に思った太郎は、亀を助けて海へ逃がしてあげました。
竜宮城への招待
翌日、太郎が船を漕いでいると、大きな亀が現れました。その亀は言いました。
「昨日は孫を助けてくださり、ありがとうございました。お礼に、竜宮城へお連れします。そこには海の女神、乙姫様がいらっしゃいます。」
太郎は亀の背中に乗り、深い海の底へと向かいました。そこには、色とりどりの魚や美しい珊瑚に囲まれた豪華な竜宮城がありました。乙姫様は太郎を温かく迎え入れ、心から感謝しました。
楽しい日々と帰る決意
太郎は竜宮城での楽しい日々を満喫しました。美しい景色、美味しい料理、そして乙姫様との会話に心を癒されました。しかし、やがて太郎は家族や村のことが恋しくなり、帰りたいと乙姫様にお願いしました。
乙姫様は快く承諾し、別れの贈り物として小さな箱、「玉手箱」を太郎に渡しました。
乙姫様は言いました:「この箱は竜宮城からの贈り物です。ただし、決して開けてはいけません。」
太郎はその約束を守ることを誓い、亀に乗って村へ帰りました。
流れた時の長さ
村に戻った太郎は、そこがまるで別の世界になっていることに気付きました。家も家族もなく、誰も太郎のことを知りませんでした。村人に話を聞くと、なんと太郎が竜宮城にいたのは数日ではなく、300年も経っていたのです。
太郎はショックを受け、絶望の中、乙姫様の言葉を忘れて玉手箱を開けてしまいました。その瞬間、箱から白い煙が立ち上り、太郎は一気に年老いた老人に変わってしまいました。それは、箱に封じ込められていた太郎の時間でした。