むかしむかし、カキの種をひろったサルが、おいしそうなおにぎりを持ったカニに、ばったりと出会いました。
サルはカニのおにぎりが欲しくなり、カニにずるい事を言いました。
🐵「このカキの種をまけば、毎年おいしいカキの実がなるよ。どうだい、おにぎりと交換してあげようか?」
🦀「うん、ありがとう」
カニは大喜びで家に帰り、さっそくカキの種をまきました。
そして、せっせと水をやりながら、
♪早く芽を出せ、カキの種
♪早く芽を出せ、カキの種
♪出さねばはさみで、ほじくるぞ
すると、どうでしょう。
さっきまいたカキの種から芽が出てきて、ぐんぐん大きくなりました。
♪早く実がなれ、カキの木よ
♪早く実がなれ、カキの木よ
♪ならねばはさみで、ちょん切るぞ
こんどはカキの木に、たくさんのカキが実りました。
🦀「よし、これでカキが食べられるぞ」
と、カニはカキの実を取りに行こうとしましたが、カニは木登りが出来ません。
🦀「どうしよう?」
困っていると、さっきのサルがやって来て言いました。
🐵「ありゃ、もうカキが実ったのか。よしよし、おいらが代わりにとってやろう」
サルはスルスルと木に登ると、自分だけ赤いカキの実を食べ始めました。
🦀「ずるいよサルさん、わたしにもカキを下さい」
🐵「うるさい、これでもくらえ!」
サルはカニに、まだ青くて固いカキの実をぶつけました。
🦀「いたい、いたい、サルさんずるい」
大けがをしたカニは、泣きながら家に帰りました。
そしてお見舞いに来た友だちの臼とハチとクリに、その事を話しました。
話しを聞いたみんなは、カンカンに怒りました。
🐝「ようし、みんなであのサルをこらしめてやろう」
みんなはさっそくサルの家に行き、こっそりかくれてサルの帰りを待ちました。
🐵「おお、さむい、さむい」
ふるえながら帰ってきたサルがいろりにあたろうとしたとたん、いろりにかくれていたクリがパチーンとはじけて、サルのお尻にぶつかりました。
🐵「あちちちっ、水だ、水」
お尻を冷やそうと水がめのところへ来ると、水がめにかくれていたハチにチクチクと刺されました。
🐵「いたいっ、いたいよう、たすけてぇー!」
たまらず外へ逃げ出すと、屋根の上から大きな臼が落ちてきました。
ドスーン!
…
🐵「わぁー、ごめんなさーい、もう意地悪はしないから、ゆるしてくださーい!」
それから改心したサルは、みんなと仲良くなりました。